経営者として未だ学んでいること
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
こじま@オルターブースです。
抱負とか書くと色々出来ないことや変化することに対して意固地になってしまうので書きませんが、今回は僕が今現在経営者として学んでいることを書きます。
まず立場を明らかにすると、僕は元々エンジニアで基本的に営業もマーケティングもデザインも会計も全くわからないところからスタートしています。
もっと前の話だといわゆるエアジャム世代のちょっと前に始まったバンドブームのときにバンドやってました。
今回の話はそんな僕がどうやって今こうやって会社を経営できているのかっていうのを伝えられればと思います。
数字に強いというのはどういうことなのか
経営をやると真っ先に立ち向かっていかなくてはいけないこと。それはお金。このお金を管理することが経営上の「数字」で最も重要なことではないでしょうか。
お金といっても様々なものがあり、経理だけではなく、営業予算やマーケティングにも数字はつきものです。
経理が早いから数字に強い、確かにそうかもしれません。
見積もり根拠が正当だから数字に強い、確かにそうかもしれません。
複雑なCPAをわかりやすくするから数字に強い、確かにそうかもしれません。
ほかにもあると思いますが、どれも数字に強いということに異論はありません。
なので、数字にまつわる部分はものすごい丁寧にやってきたつもりです。
が、最近その考え方が大分変ってきました。
まずお金を産むための筋道、僕はセールスパイプラインと勝手に言っていますがそのセールスパイプラインは1つではないということ。
これに気が付くまでに大分時間がかかりました。
1つのプロダクトは1つのセールスパイプラインではなく、多種多様な複数のパイプラインから構成されます。
事業計画は、このセールスパイプラインを作りながら数字を入れていくのですが当初は売上なんて未来のこと誰もわからないなんて言って適当に横線引いて作ってましたね。
まずそれが一番ダメ。一番やっちゃダメなやつ。
売上なんてわからないから適当で良いよっていうコンサルタントがもしいたら速攻で解約してください。
そう、「数字に強いというのはどういうことなのか」に対して僕なりの回答はこれ。
セールスパイプラインを全力で考えることができる
これですね。
これ売れないですよー、とかめっちゃ売れそうとか感想言う前に、こうやったらこうなってこうなるからこうしようって言える人はものすごい数字に強いと思います。
それと事業計画って銀行でも投資家でもお金にまつわるところには大体出すと思うんですよね。
で、何を見てくるとかというとこの計画の数字なわけだけど、売上を確かめるわけではないです。
その売上をどのように上げていくのか、数字の裏にあるセールスパイプラインを見ているのです。
<例1>
1月 | 2月 | 3月 | ・・・・ | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|
売上 | ¥1,000,000 | ¥1,100,000 | ¥1,200,000 | ・・・・ | ¥2,100,000 |
会員数 | 10 | 11 | 12 | ・・・・ | 21 |
こんな超ざっくりな人はいないと思うけど、これ見ると会員数が上がるとそれに伴い売上も上がるように見えますよね。
じゃあ、なんで会員数が上がるのか。ここです。ここを考えることなんですよね。
そして僕の気づきと学びはこの会員数が上がるということが1つの出来事ではなく複数の出来事が複雑に絡み合って生まれるということです。
セールスパイプラインの要素
売上とは複数あるセールスパイプラインの結果であるので、そのセールスパイプラインさえちゃんと作れれば良いわけです。
(それが難しいのですけどね・・・・)
よく聞く話の一つとして、新サービスの企画を経営陣に提案したら色々ネガティブフィードされてやる気を失ったっていうのありますよね。
経営者ってセールスパイプラインについては遅かれ早かれ気が付くものと思っています。
そういう人たちに対してプレゼンするわけだから、商品の素晴らしさやマーケットの状況なんかを一生懸命説明してもダメでセールスパイプラインの説明をしないとダメです。
じゃあさっきの<例>で考えてみる。
まず会員を集める仕組みとしては何があるか。
- Web広告
- イベント集客
- DM
- アウトバンドセールス
パッと頭に浮かんだやつだけでも4つありますね。ということは最低でも4つのセールスパイプラインがあるということです。
例えばこの中からイベント集客のセールスパイプラインを考えてみます。
ストーリーとしてはこんな感じ。
月1回の無料イベントを開催、参加者には参加特典として1か月無料アカウントを提供。 またお友達キャンペーンとしてお友達を誘って会員になるとさらに無料期間が1か月延長する。
これを数字で表すとこんな感じ。
<例2>
1月 | 2月 | 3月 | ・・・・ | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|
売上 | ¥0 | ¥400,000 | ¥1,600,000 | ・・・・ | ¥12,400,000 |
総会員数 | 10 | 22 | 34 | ・・・・ | 142 |
無償会員数 | 10 | 18 | 18 | ・・・・ | 18 |
有償会員数 | 0 | 4 | 16 | ・・・・ | 124 |
イベント参加人数 | 10 | 10 | 10 | ・・・・ | 10 |
お友達紹介 | 2 | 2 | 2 | ・・・・ | 2 |
イベントは毎月1回開催、最低10人参加。
参加者には無料アカウント提供、そのうち2名が友達キャンペーン適用。
チャーン(解約見込み顧客)を考慮していないけど、実際にはチャーンは考慮すべき。
例1よりも大分細かくなっていますよね。そして売上推移も例1とは全然違います。
売上はあくまでもセールスパイプラインの結果なのです。なので、いきなり売上から作るっていうのダメってことですね。
サクッとこれをエクセルで作れる人がいれば仲良くしておくといいですよ。
セールスパイプラインの要素として、例2のようにセールスパイプラインに関わる数字を必ず入れていくこと。
まあこういうこと書くと一部の人から嫌がられるかもしれませんが、銀行や投資家が見るのはこのパイプラインに関して経営者がどこまで考えたのか、じゃないかと思います。(僕的には)
このセールスパイプラインは超奥深いので、僕もまだまだ気づきが多く未だ勉強不足なところが多々ありますが是非参考にしてみてください。
人と組織
経営者として数字の学びを書きましたが、今度は数字ではなく人、組織です。
まず最初に書いておきます。
ごめんなさい!!!!
突然謝罪ですが、前職(まあ知っている人もいると思いますが)ではかなり自由にやらせてもらっていました。僕の言葉すべてが正義と思い経営陣と何度もぶつかり自分の正義を貫きました。
おかげで何不自由なく仕事はさせてもらっていましたが、今思うととんでもない勘違い野郎ですねwwww
ほんとごめんなさい。今経営者となってその勘違いに気づきました。特に僕の上司だったM田さん、N村さんにはホントに迷惑を掛けましたよねwwww
前職での僕の失敗はこれです。
- 上司(会社)にモノ言う自分かっこいい!
- なんでも言い合える仲間最高!
- 俺が支持する技術こそが正義だ!
まあ他にも数えきれないくらいやらかしてますが、とりあえずこんだけ。
失敗の具体的なことは敢えて書きませんが、かなりひどかったと思います。
で、僕の気づきは今活かされているのかというとまだまだです。
まずなんで上司にモノ言う自分かっこいいってなるかっていうとこれは単なる武勇伝披露みたいに見られますが、そうじゃなく気づいて欲しい、自分のこともっと知って欲しいっていうことなんじゃないかと思うわけです。
僕は今経営者ですが、まだまだ小さい会社なので社員の話を直接聞くことができます。これ前職時代も部下と話をしているつもりでしたけど、全然出来てなくてなるべく聞く側に回ってひたすら聞くべきと思いますね。
1対1で話を聞くと僕自身大きな気づきを得られます。これは経営者になって初めて体感できました。だからモノ言う自分かっこいいなんて思わなくてよくて、僕とはほんとに気軽に話をしてほしいと社員には言っています。
問題はこの次、なんでも言い合える仲間最高っていうのがとても良くなかったという気づきです。
あれ?それって良かったって思う気づきの間違いじゃない?
そうじゃないんです。良くなかったと思っています。
人には人の事情がある。すべてをさらけ出す必要もないと思っています。そう思えるようになりました。
僕は「人を信じる」というのはとても重要なことだと思っていて、それには性善説や直接意見を言い合えるようなフランクな環境が大事だと考えています。
何故なんでも言い合えることは良くなかったかというと、単純なディスがあったり、言葉遣いで不快にさせたり、ほんの些細な決め事でもすごい時間をかけてしまったからです。
じゃあ、どういう状態が良いのか。
遠慮はせずに、配慮しよう
これです。僕の気づきから今まさに学んでいるのはこれ。配慮とは忖度とは違います。
言葉遣いや態度のことです。以前JBUGでどなたかが話されていましたが、Backlogでのコメントは無機質になりやすく、単純な回答でも(例えば”はい”とか)捉え方によってはキツイ言葉として受け取られてしまう。そのためスタンプや絵文字を使って語尾を和らげる努力をしたほうが良いと。
なるほど、まさにそれだ。それを日常の会話でもやらないといけないなと。
それが僕が言う「遠慮せずに、配慮しよう」ということです。
自分が支持する技術こそ正義、これは上級技術者になればなるほど出やすい。前職では当時は珍しかったDebianをメインOSとしてユーザーに提供していましたが、僕はそれに対してかなり強引にCentOSへと切り替えていきました。
今思うとこれ、Debianのままでいけばよかったと。僕はCentOSという安パイを使ってDebianというマニアックなエンジニアリングを捨ててしまったのです。同じようにOpenVZも。。。
あまり例になっていませんが、独断で根幹となる技術を変えるべきではないし、様々な技術を混在させたほうが技術領域の幅が広がります。
以前ですが、とある企業からお仕事のご相談を受けたときに盛大にAzureをディスられました。AWSは正義、その他は悪みたいな感じ。でもよくよく聞くとAWSもまともに触っていない。
そうなんですよね。先入観。でもこの方はCTOだったので間違った知識を先入観で取り入れているんです。結局その後この企業とはご縁がなく全かったのですが、こういう組織だとそこで働くエンジニアは大変だなーと思います。
好きな技術もできないからエンジニアとして腕が鈍りますよね。こういう企業はコミュニティに対してもあまりよく思っていないケースが多々ありますね。
とにかく様々な技術がある。選り好みせずに雑食であるほうがよっぽど楽しいですよ。
ちなみに最近僕はというと・・・・・ほとんど何も出来てません。。。。。
マーケティング
最後にマーケティングですが、かなり広義になるのでブランディングとコミュニティでの気づきと学びにします。
まずブランディングに関しては、僕はかなりこだわりがあります。なので、プレスリリースやらサイト掲載なんかはかなり細かく見ます。
なのですが、最近ちょっとここを手放そうかなと思っていました。
うちは主にMicrosoft Azureのコンサルティング、開発を中心に手掛けていて、最近はクラウドネイティブ化促進のための新しいプロダクトを開発しています。
もっと言うとAzureによるクラウドネイティブ化でナンバーワンになろうとしています。
僕がこの部分広告塔のように様々なメディアやイベント、コミュニティで登壇しているわけですがもうWebのほう見る余力がなくなりつつあります。
完全に無くなってしまったらアウトなのでそれまでに何とかしないといけないと思っていたところ、メンバーから合宿しようという提案があり一気にそこでWebサイトのリニューアルについて企画しました。
僕の気づきは、僕がやらなくとも僕がやろうとしていることはみんな理解していて、僕自身が考えていることそのものに共感して、今オルターブースという組織に入っているんだということ。
この気づきがあったから新年の抱負など語らずとも良いと思ったわけです。
僕が今まさに学んでいることはメンバーがやっていることを信じ、それに対して強力な後押しをすること。どうやったら輝くだろう?どうやったら楽しく、自分らしく仕事をしてくれるだろう、そう考えて干渉しすぎず自分なりに勉強しています。
コミュニティに関しては去年参加させてもらったCMCが強烈でした。僕が今まさにやろうとしていること、今まで漠然と考えていたことがはっきりしましたね。
これも大きな学びです。
まとめ
超絶長くなってしまいましたが経営者として未だ学んでいることとは、
- セールスパイプライン
- 人を信じ「遠慮はせず、配慮はしよう」を浸透する
- メンバーの活動と組織のブランディングが常にリンク出来るようにする
まだまだ学ぶべきことが多いですが、人間的成長を実感できるのでとても有意義です。
補足
セールスパイプラインのところですが、たまに営業さんがこの機能がないと売れないよ!とか強く言ってくるケースありませんか?
そう言ってくる営業さんの言葉は100%、いや200%くらい信じちゃだめです。
売れるか売れないかはセールスパイプライン次第。もちろん製品の優位性もありますが、機能での優位性で売れることはまずありません。
優位性とは機能だけでなく、価格、ブランディング、ロードマップすべてに関わることですからね。
もし営業さんがこの機能がないと売れないよ!って言いだしたら、セールスパイプラインを確認してください。
営業さんのアウトバンドセールスだけなら、まず他のセールスパイプラインのアイデアを出させて、それに合う機能を入れるべきですね。(と思います。)
ちなみに本当に機能追加、改修するならこの言葉を肝に銘じておくといいです。
「声を聞くな、行動を見ろ!」
オルターブースの動き
さて、最後なのですが今年は会社として大きな変革になりそうです。
オルターブースのコーポレートスローガンは「つまらない世界から、もっと面白い世界へ変化させよう」です。
もっと面白い世界へ変化させるには、誰よりも早く失敗し、誰よりも早くノウハウを吸収し、誰よりも早くトップに立つことです。
その変革を一緒に味わい、ともに成長できるパートナーを大募集しています。
パートナーとは「クライアント」、「事業提携」、「人財」の3つを指してます。
特にクライアント候補としてアグレッシブにクラウドネイティブ化を進めたいという企業がいらっしゃいましたら是非ご連絡ください。